自民党改憲案は「戦争する国」づくりのため、「緊急事態」条項と「国防軍」の創設がねらい。
改憲の最優先項目として、緊急事態条項をたくらんでいる。
急ぐ理由を、「大災害に対応する緊急事態条項は緊急を要する課題であり、各党の賛同が得られやすい」(自民党憲法改正本部)としており、「お試し」を含めて改憲を進めようとしているのです。
総理大臣は、緊急事態と認定したときは,「緊急事態の宣言」を発することができる。そして内閣は、法律と同様の命令(政令)を出すことができる。国民の人権さえ停止できる。国民に服従の義務を求めることができる。など憲法の上に君臨する独裁政治が可能となる危険があります。
緊急事態とはどんな場合なのでしょうか?まず、「外部からの武力攻撃」があった場合、緊急事態宣言をしてこれに対応する、国民の人権を制限して、政府の命令に従わせることを想定しています。これは、まさに「戦争する国」づくりの一環です。次に「内乱等による・・・混乱」の場合を挙げています。戦争法反対のデモや米軍基地建設反対運動などが、自衛隊の治安出動の対象になるということです。また、「大規模な自然災害」を緊急事態宣言の口実にしようとしていることについては、大多数の法律家が「いまある法律を正しく使えばよい。平時の統治機構が機能すれば大丈夫。憲法に規定する必要はない。」と言っています。
「戦争しない自衛隊」から、戦争する「国防軍」に転換
「陸空海軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない≫(9条2項)を削除し、「総理大臣を最高司令官とする国防軍を保持する」規定を創設しようとしています。
9条2項は、海外での武力行使を許さない「歯止め」の役割を果たしてきました。しかし、世界のどこにでも出て行って、無条件、無制限の武力行使することを可能にしようというのです。
「国防軍」の活動の中には、「公の秩序を維持する活動があり、国民の政府への抗議活動を、「治安維持」という名のもとに武力で弾圧することも否定できません。
自民党の改憲案は、国民は国土防衛の義務を果たすことを求めており、さらに進めば「徴兵制」の復活もあり得ます。
改憲手続きを緩和し、権力者に都合のいいように
憲法改訂の発議は現在、国会の衆議院、参議院のそれぞれの総議員の3分の2が必要ですが、これを「過半数」で足りるように緩和することを狙っています。
城東支部 池田寿太郎
◇6回にわたって「憲法とは何か?」を連載しましたが、一応今回で終了します。しかし、憲法をめぐる政治情勢は予断を許しません。皆さんのご意見をお寄せください。(編集部)